ホワイトサイプレスの香りと効能・使い方
森の大地が生んだ、甘くスパイシーでモダンなウッドの香り
ホワイトサイプレスは、オーストラリアの西側に位置するグレートディバイディング山脈内陸部を中心とする乾燥地帯に自生する常緑樹で、その物語は1億5000万年前のジュラ紀にまで遡ります。この周辺の雄大な森には、数百万のホワイトサイプレスの木や、ユーカリ、アカシアなどの木々が混在していますが、繁殖のきっかけは、この地に移り住んだ先住民が野焼きをしたことだといいます。ホワイトサイプレスという名前の「ホワイト」は、この葉っぱが白い色合いをしていることから名付けられました。
オーストラリアの先住民は、この樹木と強い結びつきがあり、材木を道具にしたり、夜間は、葉をキャンプファイヤーの中に入れ、蚊を追い払うのに使用したりしていました。現在でも、クイーンランドやニューサウスウェールズ州の政府の制御下のもとで管理され、白く美しい木肌をした木部は、住宅建材として活用されています。
自然豊かな森から生まれるホワイトサイプレスの香りには、どのような特徴があるのか、詳しくみていきましょう。
ホワイトサイプレスの基本情報
科名:ヒノキ科
学名:Callitris glaucophylla(Callitris columellaris)
抽出部位:葉、枝
抽出方法:水蒸気蒸留法
主要産地:オーストラリア
主な芳香成分:α-ピネン、リモネン、酢酸ボルニル
ホワイトサイプレスの特徴
香りのタイプ:ウッディー
香りの揮発性:ミドルノート
香りの印象:中
星座:水瓶座
どんな香りの印象?
ホワイトサイプレスは、ヒノキ科の植物ですが、日本人がイメージする和の雰囲気漂うヒノキのような香りではなく、モダンさと落ちつき、爽やかさをあわせもったウッディー系の香りです。
森林浴のような心地よさと、柑橘を想わせるような甘さとスパイシーさが融合し、ナチュラルな印象とともに、都会的でスマートな印象を与えます。香り立ちもおだやかなので、好みが分かれにくいのも特徴の一つです。香りを木部から抽出するブルーサイプレスは、ウッドらしい深みと奥行きが感じられますが、一方のホワイト・サイプレスは主に葉から抽出するため、風が吹き抜けるような軽やかさを感じることができます。原産地オーストラリアでも大変人気があり、気分が明るくなる香りとして親しまれています。
ホワイトサイプレスの効果効能は?
19世紀に、ヨーロッパ系オーストラリア人がホワイトサイプレスの使い方を学び、シロアリがつきにくい木材であることが分かったといいます。さらにこの樹木は美しい木肌をしていることから、現在でも住宅の柱や床などの建材として多く活用されています。精油には主に3つの働きがあり、抗菌、消臭、精神安定が挙げられます。森の空気をそのまま体感するかのような心地よさとともに、私たちの心身をリフレッシュさせ、クリーンな印象の香りが空間を浄化してくれるような香りです。
心への影響
ホワイトサイプレスは、沈んだ心をもち上げ、リフレッシュさせてくれる働きが期待できます。なんとなく心の中がモヤモヤするときや、疲れがたまっているときにこの香りを使うと、心をクリアーにし、元気を与えてくれます。さらに、高ぶった交感神経を落ち着かせ、副交感神経を優位に促してくれるといわれており、日中のリラックスタイムにも向いています。
身体への影響
森林浴効果が期待できるため、呼吸を整えたいヨガの時間におすすめです。香りは適度な爽やかさがあるため、ヨガの中でも体をたくさん動かすアクティブなプログラムなどは、心地よくレッスンに臨めそうです。また、ホワイトサイプレスの優れた抗菌、消臭作用は、あらゆる空間を清潔に保ってくれます。靴の匂いが気になる玄関や、人が集まるリビングなどでは、居心地のよい空間を演出しながら、さりげなく消臭効果を発揮してくれます。
ホワイトサイプレスと相性のいいオイル
ハーブ系: ラベンダー、ローズマリー、マジョラム
シトラス系: グレープフルーツ
ウッド系: ユーカリ、パイン、ヒノキ、ジュニパー、シダーウッド
フラワー系: ゼラニウム、イランイラン
多くの精油と相性がよく、香りの芯を作ってくれます。ウッドの中でもモダンで都会的な印象をもつ香りですので、ちょっと特別感を感じるデザイン性の高い香り空間を創りたいときにはおすすめです。爽やかなグレープフルーツやローズマリーなどと合わせるとカジュアルな印象の空間を、またヒノキやパインなど落ち着いたウッドに個性的なスパイスを組み合わせると、粋な和モダンの空間にも合う香りになります。フローラル系のイランイランともうまく溶け合い、華やかで濃厚なイランイランの印象をスマートにし、空間への広がりをよくしてくれます。
使用する際の注意点は?
ホワイトサイプレスは、骨格がしっかりとしていてメイン使いしやすい香りです。それだけに、ついたくさんの量を入れがちですが、入れすぎるとえぐみが出てくるので、分量には気を付けてブレンドしましょう。
ホワイトサイプレスを使ったブレンドオイル
自分でブレンドするのは大変という方に、芳香浴用にブレンドされたエッセンシャルブレンドオイルを3種ご紹介します。ホワイトサイプレスの魅力を引き出したプロのブレンドをぜひお楽しみください。
モダンで都会的な印象をもつホワイトサイプレスの魅力が感じられるブレンド
ユニセックスに使いやすい香りですよ!
D01 アブソリュートブルー10ml 1,980円
都市のライフスタイルをイメージした、モダンなニュアンスが織り成す香り
原料:ローズマリー、ホワイトサイプレス、パルマローザ、グレープフルーツ、ブルーサイプレスetc.
清々しさの中に安定感のある香り
ファンも多く、サプリメントエアーの中で特に人気の香り!
S05 メディテーション 10ml 1,760円
ハーブ、木、スパイスをミックスした、精神を深く落ち着かせる香り
原料:ホワイトサイプレス、クローブ、ロサリナ、ネロリナ、ユーカリetc.
フローラル調の印象をホワイトサイプレスでスマートに整えたブレンド
ニュートラルな視点を持ち、調和を促したい時に!
P06 ハーモニー 10ml 1,760円
バランスの整った空気感をつくるラベンダー系の香り
原料:ラベンダー、ゼラニウム、ホワイトサイプレス、グレープフルーツ、サンダルウッドetc.
使うシーンや季節
ウッドの種類の中でも、軽やかな印象をもつホワイトサイプレスは、空間演出にとても適した香りです。香りの印象もクールすぎず、暖かすぎず、あらゆる季節で使うことができますが、とくにおすすめなのは、暑さでさまざまなにおいが気になりだす夏の時期です。夏は、気温や湿度の上昇とともに、いろいろなにおい対策が必要となる季節です。ホワイトサイプレスとともに、同じく消臭機能をもつペパーミントや、ユーカリ・グロブルスなどを一緒に広げると、清涼感のあるクリアーな印象の空間で、心地よく過ごすことができます。カラーイメージも、若々しさや自然を表すグリーンや、明るいブルーを表現することから、爽快感あふれる空気感を創出してくれます。
ホワイトサイプレスの香りは、どこかスパイシーで、スマートさをもっていることが特徴です。飾り気のない、色味をおさえたシンプルモダンな印象のインテリアスタイルによく合います。ウッドならではの落ち着きやソフトな甘さもありますが、クールな印象を持っていることから、空間で広げると都会的な雰囲気を創出してくれます。シングルオイルの香りからも十分スマートな印象を感じられますが、クローブやブラックペッパーといったスパイスを効かせることで、より大人っぽい洗練された空気感を演出することができます。
オーストラリアの雄大な森から生まれたホワイトサイプレス。森林浴をしているようなすがすがしさと、現代的なクールさをもちあわせたこの香りは、日常生活のちょっとしたリフレッシュタイムから、非日常的な特別感のある空間まで、あらゆるシーンで活用しやすい香りです。香りに慣れていない方でも取り入れやすい印象ですので、アロマショップで見つけたら、ぜひチェックしてみてくださいね。

アロマ空間デザインインストラクター 岡田ひとみ

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