ジュニパーベリーの香りと効能・使い方
深く静かな森の木々を思わせる爽やかでウッディな香り
ジュニパーは、北半球に広く分布する常緑低木です。生育する場所によって変種しやすく、多くの品種が存在します。香りが採られる球果(実の部分)は、秋に実がなり黒く熟すまでに2~3年かかると言われます。
ジュニパーといえば、洋種の「ジン」の香りづけとしても有名ですね。
この植物は高い浄化作用をもち、中世ヨーロッパでは魔除けや疫病除けとして、ローズマリーなどのハーブとともにジュニパーの枝葉が焚かれていたという歴史があります。
現代でもそのデトックス作用を活用して、ボディトリートメントなどで使われるジュニパーベリーですが、香りとしてはどのような特徴があるのか、探っていきましょう。
ジュニパーベリーの基本情報
科名:ヒノキ科
学名:Juniperus communis
抽出部位:果実
抽出方法:水蒸気蒸留法
主要産地:フランス、クロアチア、ブルガリア
主な芳香成分:α-ピネン、テルピネン-4-オール、リモネン
ジュニパーベリーの特徴
香りのタイプ:ウッド
香りの揮発性:ミドルノート
香りの印象:中~強
どんな香りの印象?
ジュニパーベリーは、針葉樹ならではのすっきりとしたウッドの中に、スパイシーさやほのかな甘さを感じさせる香りです。
お酒の「ジン」の香り付けとしても使われているため、大人の雰囲気漂う落ち着いたイメージを持っている方も多いことでしょう。
空間で演出すると、まるでうっそうとした森の中を散策するような、しんとした静けさを表現できますが、一方で、どこか洗練されたモダンな印象もあわせ持つため、都会的でクールな世界観を演出することもできます。
また、すっきりとしたユニセックスな香りであることから、メンズ用の香水としても活用されています。
ジュニパーベリーの効果効能は?
ジュニパーベリーは、身体に溜まった老廃物の排出を促すデトックス作用に優れ、むくみやセルライト対策としてボディトリートメントや半身浴で使われます。そもそも「ジン」の香りづけとして使われ始めたきっかけも、ジュニパーベリーのもつ利尿作用などの薬効を期待してのことだといいます。
さらに、主成分であるα-ピネンには空気清浄作用もあることから、お部屋のお掃除をした後などにジュニパーベリーの香りを漂わせたり、エアミストで空気中に広げて活用することで、空間をクリアーに整えることができます。
心への影響
気持ちを前向きに持ち上げてくれるようなリフレッシュ作用があります。ちょっと落ち込んでしまって元気がないときや、心の中がモヤモヤするときに、ティッシュなどに1滴垂らして、ゆっくり深呼吸をしてみましょう。
爽やかな針葉樹の香りが呼吸を整え、頭の中がすっきりとし、気持ちを切り替えることができます。
身体への影響
身体を温め、体内の老廃物を解毒する作用があることから、冷えやリンパの詰まりが原因で起こるむくみやセルライト、また関節痛やリウマチなどの痛みの緩和に向いています。お肌に対しては、抗菌作用や収斂作用があるため、肌荒れやニキビのトラブルにも効果的です。
ジュニパーベリーは高い利尿作用があることからハーブティーとしても楽しむことができますが、腎臓を刺激する可能性があるため、腎臓に疾患のある方は気を付ける必要があります。
ジュニパーベリーと相性のいいオイル
シトラス系:グレープフルーツ、レモン
ウッド系:ヒノキ、ホワイトサイプレス、シダーウッド
ハーブ系:ラベンダー、マジョラム、ローズマリー
フラワー系:イランイラン
ジュニパーベリーは、メインとして使うことは少ないかもしれませんが、ブレンドに少量加えるだけで香り全体が引き締まり、アダルトでエッジの効いた雰囲気が出せ、香りに独特な個性をもたせることができます。
またその静けさからローズマリーやペパーミントなどの清涼感あるハーブ系の香りとブレンドして「水」や「ガラス」などの透明感を表現したり、ウッド系の香りとあわせて静寂な深い森の世界観や爽やかな森林の空気感を表現したりすることができます。
使用する際の注意点は?
芯のある力強い香りなので、香りのアクセントとして少量から使うのがおすすめです。
また独特な雰囲気をもつ香りのため、好き嫌いが分かれやすい傾向があります。とくにお子さまがいる場合は、グレープフルーツなどのやさしいシトラス系の香りなどとブレンドし、ソフトに仕上げるとよいでしょう。
ジュニパーベリーを使ったブレンドオイル
自分でブレンドするのは大変という方に、芳香浴用にブレンドされたエッセンシャルブレンドオイルを2種ご紹介します。ジュニパーベリーの魅力を引き出したプロのブレンドをぜひお楽しみください。
針葉樹ならではの爽やかさと落ち着きが味わえるブレンド
ジュニパーベリーのもつ、静寂で大人な世界観を堪能したい時に
B20 ジュニパーシダー 10ml 1,980円
青々しく透明感があり、スパイシーな香りに包まれる
原料:ジュニパー、シダーウッド、プチグレン
木々の深さとモダンな印象を味わえるブレンド
誇り高く、なりたい自分へと一歩近づく。男性へのギフトにもおすすめ
P01 トラスト 10ml 1,980円
自信を高め、信頼できる印象を与えたい時に
誠実で慎み深さのある、落ち着いた木質系の香り
原料:ヒノキ、フランキンセンス、パチュリ、コリアンダー、ジュニパーetc.
使うシーンや季節
ジュニパーベリーの香りは、その高い機能性と、デザイン性から様々なシーンで活用できます。
針葉樹ならではのウッドの爽やかさや抗菌作用を活かして、清潔感が必要とされるパウダールームやフィットネスクラブで使用したり、日中は仕事の合間の集中力UPや、心と頭のリフレッシュに役立ち、気持ちを切り替えたりすることができます。
ジュニパーベリーは、濃い青や深い緑のカラーをイメージさせる香りです。ペパーミントなどの香りがキラキラとしたマリンブルーや鮮明なグリーンを表現することに対し、ジュニパーベリーのもつ青色はもっと深く、海の底や、静かな夜空をも連想させるような印象があります。
また、クールさや硬さを持ち合わせており、都会的なニュアンスをもつことから、モダンな印象や、落ち着いた大人の雰囲気をもたらすことができます。
季節と合わせて香りを楽しむ場合は、夏はペパーミントなどとブレンドし、すっきりとした清涼感のあるハーバルウッド調のクリアーな空間づくりを。その場を心地よく過ごすことができます。冬には、ジュニパーベリーのもつ静けさを活かして、深々とした凍てつく冬の空気感を表現するなど、香りのデザイン性を楽しむことができます。
静寂と洗練さ、清涼感と落ち着き。一見相反するような要素をあわせもち、自在に表現できるのが、ジュニパーベリーの特長です。

アロマ空間デザインインストラクター 岡田ひとみ

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