プチグレンの香りと効能・使い方
グリーン調の芯のあるフレッシュな香り
プチグレンは、インド原産の柑橘であるビターオレンジの葉や枝から採れる爽やかな香りです。この植物は、香りを採る部位によって呼び名が変わるのが特徴で、果実からはビターオレンジ、お花からはネロリ(またはオレンジフラワー)、そして枝葉からはプチグレンという精油が採られます。一般的にはビターオレンジから採るものをプチグレンと呼びますが、レモンやマンダリンなど他の柑橘の枝や葉から抽出された精油もプチグレンと呼ぶ場合があります。
さてこのビターオレンジ、日本では橙(ダイダイ)という名前で知られています。お正月のしめ飾りや鏡餅に使われている柑橘、と言うとピンとくるかもしれませんが、これには「代々(ダイダイ)子孫が繁栄するように」との願いが込められており、縁起のよい果実として古くから親しまれています。
プチグレンの基本情報
科名:ミカン科
学名:Citrus aurantium
抽出部位:葉、枝
抽出方法:水蒸気蒸留法
主要産地:フランス、イタリア、パラグアイ
主な芳香成分:酢酸リナリル、リナロール、α-テルピネオール
プチグレンの特徴
香りのタイプ:ハーバル
香りの揮発性:トップノート~ミドルノート
香りの印象:強
どんな香りの印象?
グリーン調の青々しいハーバルの中に、ほのかに甘さやビターな大人っぽさを感じる香りです。プチグレンには、ネロリのトップノートで感じるフルーティーな香り成分が含まれるため、どこかネロリの要素も感じられ、フレッシュさとともに心が落ち着くようなやさしいフローラルな雰囲気も持っています。また、ユニセックスな香りとして男性にも親しんでいただきやすく、男性用の香粧品に使われることもあります。
空間演出ではモダンなイメージを表現することができ、ブレンドに少量使用することで、センスのよいおしゃれな雰囲気を楽しむことができます。
プチグレンの効果効能は?
爽やかでハーバルな印象を感じるプチグレンですが、香りの成分としてはビターオレンジやネロリと同じ成分も含まれるため、心に対しては抗ストレスや鎮静作用が期待できます。また自律神経を整えることから、精神的なストレスが原因でおこる消化器系のトラブルや、身体の免疫力アップに役立ちます。
お部屋の中など空間への作用としては、プチグレンの抗菌作用を活かしてアロマディフューザーなどで拡散してみましょう。空気をすっきりと整えながら、気持ちも穏やかにリラックスへと導いてくれます。
心への影響
プチグレンの成分のうち、半分以上を占めるのが酢酸リナリルとリナロール。これらの成分は、ラベンダーやベルガモットなどにも含まれ、抗ストレスや鎮静作用が高く期待できます。そうした作用から、プチグレンは心のバランサーとして活躍します。心が落ち込んでいる時には明るく前向きに、また気分が高揚している時には興奮を緩やかに落ち着かせてくれます。
また、自信が無いと感じる時や不安を抱えている時には、リフレッシュしてくれる働きもあります。
身体への影響
身体を緩める作用があり、運動後などのこわばった筋肉の緊張をほぐします。また心身を深く落ち着かせることから、就寝時の眠りをサポートする香りとしてもおすすめです。プチグレンには抗菌や収斂作用があり、お肌に対してニキビケアなどのスキンケアにも用いられます。
柑橘類の植物から採れる精油ですが、ベルガモットやグレープフルーツなどにみられるような光毒性を含まないことから、比較的安心して使用できると考えられます。
プチグレンと相性のいいオイル
シトラス系:オレンジ、ベルガモット、グレープフルーツ
ウッド系:ホワイトサイプレス、シダーウッド
ハーブ系:ラベンダー、ローズマリー
フラワー系:ゼラニウム、イランイラン
プチグレン自体がほのかにオレンジに似たニュアンスを持っているため、シトラス系の香りとは全般的によく合います。
高価なネロリに比べるとコストパフォーマンスがよく、上品なフローラルの印象も持ち合わせるため、ネロリのような印象を出したい時にサポートとして一緒に使うとお花の香りを際立たせてくれます。落ち着いたフラワー系の香りと合わせて、よりリラックスムードの高い香りを表現したり、またブレンドに少量加えることでエネルギッシュさや都市の煌めきを表現したりもできます。
使用する際の注意点は?
嗜好性が分かれやすく、さらに少量で存在感が出る香りなので、使用量に注意しましょう。
プチグレンはフレッシュな青々しさが魅力的ですが、入れすぎると青臭さが目立つため、ブレンドの中ではメイン使いよりもアクセント使いがおすすめです。
プチグレンを使ったブレンドオイル
自分でブレンドするのは大変という方に、芳香浴用にブレンドされたエッセンシャルブレンドオイルを2種ご紹介します。プチグレンの魅力を引き出したプロのブレンドをぜひお楽しみください。
幻想的な世界観を味わえる個性派ブレンド
静かなウッド調の香りの中に、プチグレンが瑞々しさを添える
B20 ジュニパーシダー 10ml 1,980円
青々しく透明感があり、スパイシーな香りに包まれる
原料:ジュニパー、シダーウッド、プチグレン
ユニセックスに使える大人なブレンド
プチグレンのモダンなニュアンスが光る、デザイン性の高いウッドの香り
D04 グルーヴィーフォレスト 10ml 1,760円
樹々のうるおいに満ちた空気感を表現した、シックでストイックな世界観をもつ香り
原料:ファーニードル、サイプレス、フランキンセンス、グレープフルーツ、プチグレンetc.
使うシーンや季節
プチグレンは、グリーン調のしっかりとした芯のある香りで、空間に若々しさや明るい印象をもたらします。香りはすっきりとしているものの、どこか穏やかさやほのかなフルーティーさも感じられるため、ペパーミントやローズマリーにはないグリーンのイメージを表現できます。
また、鎮静や安眠といった作用が期待できながら、香り自体は爽やかでユニセックスな印象ですので、普段あまりアロマに親しみのない男性や、同じリラックス系の香りでもラベンダーのような甘さや重さのある香りが苦手という方にも使いやすい香りではないでしょうか。ゆったりとくつろぎたい休日や、お休み前のリラックスタイムをより充実させてくれる香りです。
一方で、モダンで洗練された、攻めのニュアンスが出せるのもプチグレンの特徴。おしゃれなオフィスエントランス、アパレルショップなど、インテリアデザインやコンセプトにこだわった空間をさらにセンスアップしてくれるような、個性的な演出要素をもち合わせます。自然体でありながら、独特な世界観を表現できる、柔軟性のある香りと言えます。
プチグレンは、シングルオイル単体でも香りにデザイン性が感じられるような完成された印象がありますが、使い方次第で様々な表現ができる香りです。ぜひその奥深さや表情の変化を楽しんでみてください。

アロマ空間デザインインストラクター 岡田ひとみ

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