マンダリンの香りと効能・使い方
甘酸っぱい香りがギュッとつまったフルーティーな香り
マンダリンはインドのアッサム地方を原産とする常緑低木で、自然交雑を繰り返しながら世界中に広まったと言われています。
温暖で湿気の多い気候を好みますが、比較的環境への適応性が高く、現在では主要産地のブラジルや地中海地方をはじめ、日本を含む様々な地域で商用的に生産されています。見た目はオレンジ・スイートよりも小ぶりで皮も薄く柔らかいのが特徴で、柑橘類の中では日本の「ぽんかん」の仲間になります。
かつて中国では高級官僚のことを「マンダリン」と呼んでいた歴史があり、そうした大官たちの主君に敬意を表すしるしとして献上されていたこの果実をマンダリンと呼ぶようになったという説があります。現代でもマンダリンは豊かさや実りの象徴として新年の飾りものとして使われたり、また香りも甘く親しみやすいことから香水や製菓材料としても多くの国で活用されています。
マンダリンの基本情報
科名:ミカン科
学名:Citrus reticulata
抽出部位:果皮
抽出方法:圧搾法
主要産地:ブラジル
主な芳香成分:リモネン、γ-テルピネン、α-ピネン
マンダリンの特徴
香りのタイプ:シトラス
香りの揮発性:トップノート~ミドルノート
香りの印象:中
どんな香りの印象?
マンダリンの香りにはまったりとした甘さがあり、人々をほっとさせてくれるような優しさと温かみがあります。オレンジ・スイートなど他の柑橘類がもつような瑞々しさはないものの、どこか懐かしさを感じるような雰囲気があります。みかんが身近な日本人にとってはとても親しみやすく、老若男女問わず好まれやすい香りの一つでしょう。
またマンダリンは柑橘らしい香りに加え、ほのかにフローラルな印象も感じられます。これはマンダリンがお花のネロリなどに共通する芳香成分の一部をもっているためです。まるでカモミール・ローマンにも似たような、フルーティーな華やかさがトップノートとして立ち昇ります。
マンダリンの効果効能は?
柑橘類は総じて消化促進やリラックス作用が期待できる香りです。
中医学では、マンダリンの果皮を乾燥させたものを陳皮と呼び、漢方薬の原料や食材として胃腸の調子を整えたり身体を温めたりする目的で使われてきました。日本でも昔から柚子やみかんの皮をお風呂に入れて浸かるという風習が伝わるように、柑橘類の多くは身近な自然療法の一つとして暮らしの中で役立てられてきました。
心への影響
神経を緩めながら心を落ち着かせ、不安な気持ちや沈んだ感情を明るく持ち上げてくれる働きが期待できます。
イライラしてしまった時やリラックスしたい時におすすめで、安心感をもたらすようなほっとするマンダリンの香りは、眠れない夜にもそっと寄り添ってくれます。
マンダリンの香りはとても優しい印象のため、香りに慣れていない小さなお子さまや高齢の方とも一緒に楽しめる香りです。
身体への影響
血行の流れをよくし、身体を芯から温める作用が期待できます。また胃腸の調子を整え、ストレスや冷えからくるお腹の乱れや食欲増進にも効果的とされています。
肌の細胞活性を促すとも言われ、むくみの解消や妊娠線の予防にも用いられます。
マンダリンと相性のいいオイル
シトラス系:ベルガモット、グレープフルーツ
ウッド系:ユーカリ、ヒノキ
ハーブ系:プチグレン、スイートマジョラム
フラワー系:カモミール・ローマン、ネロリ、ジャスミン
比較的多くの精油とのブレンドを楽しめます。マンダリンは日本のみかんを想わせるようなどこか懐かしさを感じる香りで、ヒノキやユズといった和精油と合わせると、より哀愁漂うノスタルジックな世界観を表現できます。また、オリエンタルなイメージづくりにも適しており、主にイランイランやレモングラスなど熱帯地方を原産とする香りや、重厚感のあるサンダルウッドなどと合わせると、東洋を想わせるインテリアスタイルにも馴染みやすい香りを創り上げることができます。
スパイスとの相性も良く、マンダリンをブレンドすることで香り全体の温かみを引き立てることができます。
使用する際の注意点は?
嗜好性が分かれにくく使いやすいイメージがありますが、オレンジ・スイートや、グレープフルーツなどのフレッシュさのある柑橘に比べると、まったりとした重さも感じられる香りです。ブレンドの際に、マンダリンの割合を多くすると、香り全体が重くなってしまいがちですので、適量を使うようにしましょう。
とくに湿度の高い場所で使用する場合には、注意が必要です。
マンダリンを使ったブレンドオイル
自分でブレンドするのは大変という方に、芳香浴用にブレンドされたエッセンシャルブレンドオイルを2種ご紹介します。マンダリンの魅力を引き出したプロのブレンドをぜひお楽しみください。
小さなお子さまと一緒に楽しめる安心ブレンド
マンダリンのジューシーさをダイレクトに体感できる、ナチュラルで明るい印象の香り。
B10 ベルガモットマンダリン 10ml 1,760円
はつらつとした気分を高める柑橘の優しい香り
原料:ベルガモット、オレンジ、マンダリン
休日の昼下がりにまどろむようなリラックスブレンド
マンダリンの温かみに包み込まれるような安心感が、くつろぎの空間を創出。
D10 サニーデイ 10ml 1,980円
日差しのように暖かいエネルギーを感じさせる、自然の豊かさと明るさの美しい調和
原料:オレンジ、マンダリン、カモミール、カボス、フランキンセンスetc.
使うシーンや季節
マンダリンの香りは、秋から冬にかけて、ちょっと肌寒さを感じるような季節に演出すると、その丸みを帯びた柔らかな印象とコクのある甘さが、空間をやさしく包み込んでくれるような、心温まる雰囲気を創り上げることができます。
また、寒い季節は室内のファブリックや小物もオレンジや赤色など暖色系のカラーが増えるものです。そうした空間では、マンダリンのもつオレンジ色のカラーイメージがよく馴染み、香りがあることでさらにその場のムードを高めることができます。
マンダリンは香りの印象がソフトで穏やかなため、パブリックなシーンにおいても幅広く活用することができます。たとえば小さなお子さまのいる保育施設からご年配の方が利用するような介護施設といった空間まで、アロマの香りにあまり慣れていない方が利用する場面でも使いやすい香りです。
一方で、ナチュラルさだけでなく、オリエンタルな一面も感じられるのがマンダリンの奥深い部分です。
タイやバリ島などのアジアンテイストをコンセプトとしたスパやサロン、ホテルのレセプションなどの演出にも向いています。
マンダリンの香りは好みが分かれにくく、とりわけ柑橘類が身近な日本人にとっては親しみを感じやすい香りの一つです。日常的なシーンにも取り入れやすく、誰もが笑顔になれるような明るい印象をもった香りですので、家族みんなが集まる寛ぎの時間や、友人をお迎えするときなど、身近な空間からぜひトライしてみてください。

アロマ空間デザインインストラクター 岡田ひとみ

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