ユーカリ・ラディアータの香りと効能・使い方
シャープでほんのり甘い、親しみやすい香り
ユーカリは、オーストラリアを原産とするフトモモ科の常緑樹で、高木となるものが多い樹木です。木材の多くはパルプ用のチップや燃料として用いられ、産地の森林産業を支えています。先住民のアボリジニは、古くからこの植物を解熱や創傷治癒の目的で使用していました。ユーカリには約600種以上の品種があり、園芸やドライフラワーなどとして親しまれている植物の一つですが、アロマセラピーでよく用いられる代表的な香りはケモタイプも含めると約10種程度と言われています。
今回は、その中でもひときわ香りが穏やかなユーカリ・ラディアータについてご紹介します。
ユーカリ・ラディアータの基本情報
科名:フトモモ科
学名:Eucalyptus radiata
抽出部位:葉
抽出方法:水蒸気蒸留法
主要産地:オーストラリア
主な芳香成分:1,8-シネオール、α-テルピネオール、α-ピネン(リモネン)
ユーカリ・ラディアータの特徴
香りのタイプ:ウッド
香りの揮発性:トップノート
香りの印象:弱
どんな香りの印象?
ユーカリと聞くと、鼻に抜けるようなスっとする香りが思い浮かびますが、原料の品種が異なれば含まれる香気成分も変わるため、香りもそれぞれに特徴が生まれます。
ユーカリ・ラディアータは、刺激的な香りの正体である1,8-シネオールという成分の含有量がやや低く、他のユーカリ種に比べて清涼感が和らぎ、レモンに似たような軽やかなシトラス調を想わせるのが特徴です。
ユーカリを代表する品種であるグロブルス種の香りが直線的な印象なのに対し、ラディアータは曲線的でほのかにやさしさを感じるといった違いがあります。ラディアータはグロブルスほどのシャープな刺々しさが少ないため、お子さまや清涼感の強い香りが苦手な方にも使いやすい香りです。
ユーカリ・ラディアータの効果効能は?
ユーカリの主成分といえば、抗菌や抗ウイルスなどの作用を司る1,8-シネオールです。
ラディアータはこの成分がグロブルスよりも比較的少なくなるものの、アロマセラピーとしては同等の目的で使用されることがほとんどです。一方で、ラディアータは香りが穏やかでソフトな甘さもあるため、適度にリラックスしたい時にも活用できます。
心への影響
頭脳明晰作用が期待でき、学習や作業時の集中力アップをサポートしてくれます。
感情をリセットしたい時にもおすすめで、心の中のモヤモヤとした状態をすっきりと解き放ってくれます。
身体への影響
抗菌、抗ウイルス作用に優れることから、空気環境を整えたい時や感染症が流行しやすい季節によく用いられます。
また痰を出しやすくしてくれることから、気管支トラブルを抱えている時に吸入などにも使われます。
ユーカリ・ラディアータと相性のいいオイル
シトラス系:ベルガモット、レモン
ウッド系:ホワイトサイプレス、ホーウッド
ハーブ系:ラベンダー、ローズマリー
フラワー系:ゼラニウム、カモミール・ローマン
ユーカリ・ラディアータは少しシトラス様のニュアンスがあり、柑橘類ととても相性の良い香りです。
レモンなどの爽やかな香りと合わせてシトラスらしさを際立たせたり、また重めのウッドやフローラルの香りに少量加えて空気感をプラスし、香り全体のバランスを整えたりすることもできます。
香り自体は爽やかですが主張しすぎない為、ブレンドの骨格を崩さず、他の香り同士を上手くつなぎあわせてくれます。
また弧を描くような丸みがあり、ハーバルなどの刺激的な香りを和らげ、ブレンド全体に柔らかさと透明感を与えます。
使用する際の注意点は?
ユーカリはどの品種も香りの濃度が弱いものが多くなりますが、ラディアータは独特な雰囲気をもつため、入れすぎるとややクセが出てくるため注意しましょう。
また、作りたい香りのイメージ、カラーなどによっては同じユーカリでもグロブルスの方が適していたり、数種類のユーカリをブレンドして使用したりすることもあります。ブレンド内容に合わせて、うまくユーカリを使い分けてみましょう。
ユーカリ・ラディアータを使ったブレンドオイル
自分でブレンドするのは大変という方に、芳香浴用にブレンドされたエッセンシャルブレンドオイルをご紹介します。ユーカリ・ラディアータの魅力を引き出したプロのブレンドをぜひお楽しみください。
スタイリッシュとリフレッシュを叶えるブレンド
ウッドとシトラスのブレンドに、ユーカリ・ラディアータが光と開放感を与える
D02 アーバンスカイ 10ml 1,980円
オープンで創造的な個性にふさわしく、シトラスハーブとウッドのエネルギーがあふれる
原料:ライム、ユズ、ユーカリ、ヒノキ、ティートリーetc.
使うシーンや季節
ユーカリ・ラディアータは、抗菌、抗ウイルスなど様々な機能性を活かした使用法もおすすめですが、香りそのものの柔らかさやニュアンスといった特徴にも注目して、アロマ空間デザインらしい使い方を楽しむのもおすすめです。
具体的には、空間のカラーイメージやインテリアスタイルに合わせて考えてみると、ユーカリ・ラディアータのもつデザイン性を活かすことができます。例えばカラーに着目してみると、ユーカリは全般的に「白」を表現する香りですが、その中でもラディアータはシトラスに似た印象をもつ香りであることから、やや生成りがかったアイボリーや薄い黄緑色を表します。また、香り自体も自然体で、爽やかさの中に優しさやほのかな甘さが感じられるため、木目調のインテリアや、木綿やコットンなど自然素材を使用したナチュラルな雰囲気の空間にとても合います。パブリックシーンでは、清潔感とほどよい緊張の緩和が求められるクリニックの待合スペースや、好感度を上げたいパウダールームなどにもおすすめです。
ユーカリ・ラディアータは、すっきりとしていながら香りの濃度も弱く穏やかな印象ですので、お子さまやアロマセラピーに慣れない方にも親しまれやすいといった傾向があり、日常的にも取り入れやすい香りの一つです。品種の異なるユーカリの香りを比べながら、目的に合った使い分けを楽しんでみてください。

アロマ空間デザインインストラクター 岡田ひとみ

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