アロマで抗菌・抗ウイルス!いまできること

昨今、感染症に対する予防として、除菌や抗菌への意識の高まりを背景に、おうちやオフィス空間においても、感染予防のための対策が欠かせなくなってきました。おうちで過ごす時間が多くなってきている今だからこそ、機能と癒しを持ち合わせるアロマセラピーを上手に取り入れて、気持ちも穏やかに、ストレスフリーな日々を送りたいですね。

アロマセラピーに使われるエッセンシャルオイル(精油)は、その成分に応じて、私たちの心や体、また環境に対して、さまざま効果が期待できます。
特にいまの時期気になるのが、抗菌・抗ウイルス作用ですが、それらの効果が優れているオイルがいくつか存在します。

古代エジプトでは、ミイラの保存料に使われたり、17世紀にペストが流行ったときに、消毒や抗菌目的でハーブが用いられたりと、抗菌のためのアロマテラピーは古くから用いられ、伝承されてきました。

オーストラリアの先住民が、感染症などの病気に対して殺菌消毒作用のあるティートリーを使用してきたという話も有名です。今回は香りのもつ抗菌力について、見ていきたいと思います。

抗菌・抗ウイルス作用とは

まずは、抗菌、抗ウイルス、殺菌など、それぞれの薬理作用と、その作用が期待できる精油についてみていきましょう。植物には様々な機能が期待できますので、目的にあった香りを選ぶうえでも、それぞれの違いを理解することが大切です。

抗菌作用

細菌の増殖を抑える作用
ティートリー、ヒノキ、ペパーミント、ユーカリ、ラベンダーなど

抗ウイルス作用

ウイルスの増殖を抑える作用
ティートリー、ペパーミント、ユーカリ、パイン、レモンなど

殺菌作用

バクテリアなどの細菌を殺す作用
クローブ、ペパーミント、タイム、シナモン、ローズマリーなど

抗真菌作用

真菌(カビ)の増殖を抑える作用
ティートリー、ラベンダー、フランキンセンス、シダーウッドなど

自然界に生きる植物には、私たち人間と同じように、自分たちを守るための力が備わっています。植物自身が、虫や鳥に食べられないように、また菌などに感染しないように、抗菌や殺菌作用をもともと持っているのです。
私たちは植物が本来持つ力を使って、その作用を役立てていくことができます。

抗菌・抗ウイルス作用 おすすめアロマ

ティートリー Tea tree

ティートリー

科名:フトモモ科  
抽出法:水蒸気蒸留法
抽出部位:葉

オーストラリア先住民のアボリジニがこの葉を煎じて飲んでいたことから名づけられたというティートリー。爽やかさと芯のある強さを合わせ持つ、大地や豊かな自然を想わせるアーシーな香りです。主な成分であるテルピネン-4-オール、1,8-シネオールは共に優れた抗菌作用をもつため、ティートリーには、抗菌作用や抗真菌作用が期待できます。
幅広い感染症に対して力を発揮し、呼吸器系の感染症、風邪やインフルエンザ、花粉症、気管支炎などへの作用が期待できるとされています。

ティートリーの記事はこちら

ユーカリ・グロブルス Eucalyptus Globulus

ユーカリ 

科名:フトモモ科  
抽出法:水蒸気蒸留法
抽出部位:葉

生命力が強く、生長が早いユーカリは、種類が500種以上あるともいわれているが、グロブルスは代表格の品種。ティートリーと同様に、強い殺菌作用が期待できる香りです。
成分の6割以上を占めるのは、1,8-シネオール。揮発性がとても高く、ユーカリ特有の爽快感を感じさせます。去痰、抗炎症作用が期待できるため、風邪や花粉症などの呼吸器トラブルを改善するのに役立ちます。
また、森の中の木々の香り成分で、森林浴をしているような効果をもたらすα-ピネンも含むため、自然に囲まれているような清々しさを感じることができます。
シャープでクリアな清々しい香りは頭脳明晰の作用が期待でき、風邪症状時などの鬱屈とした気分の解消や、また勉強や仕事時のリフレッシュに活用されます。

ユーカリ・グロブルスの記事はこちら

ペパーミント Peppermint

ペパーミント

科名:シソ科  
抽出法:水蒸気蒸留法
抽出部位:葉

清涼感を感じさせる、クリアーでさわやかな心地の良い香り。
主な成分は、メントール、メントン、1,8-シネオール。冷却作用をもたらすほか、抗菌や抗ウイルス効果も期待でき、空気環境のケアにも積極的に活用されているなど、さまざまな効果や効能があるといわれています。
乗り物酔いや吐き気をやわらげ、すっきりとした気分に整えてくれたり、花粉症や鼻づまりといった呼吸器系のケアにもよく使用されています。

頭をクリアーにしてくれるので、ドライブ中やお仕事の前などの気分の切替にも。シングルオイルは刺激が強いため、柑橘系や木質系の香りなどとブレンドして使用すると、リフレッシュに適した明るい香りを楽しむことができます。

ペパーミントの記事はこちら

アロマの実証実験データ

アロマの持つ抗菌作用などについては、すこしずつ研究が進んできています。
いくつか関連のある実証実験のデータをご紹介していきます。

アロマの制菌作用

日本アロマ環境協会(AEAJ)が発表しているのは、「精油の制菌作用」。防カビ・制菌作用が高いといわれるアロマがどれほどの抗菌力を発揮するのか、実際にテストした研究データとなります。浴室や食品に発生するカビなど、日常生活とかかわりの深いものがピックアップされています。それぞれにどんなアロマが効果的なのか、確認ができます。

▼実験紹介「精油の制菌作用」
https://www.aromakankyo.or.jp/basics/literature/new/vol7.php
引用元:アロマ環境協会HP

アロマでおこなう空間除菌

アットアロマが発表しているのは、機能性に着目した香りシリーズ「Clean air(クリーンエアー)」をつかった実証実験です。全 9 種のうち、C01~C04 の 4 種は、抗菌・抗ウイルス作用の成分を多く含むユーカリを中心にブレンドしており、空間のこもりがちな空気をクリアーに整えてくれます。

その中でも、「C02 クリーンミント」は、抗菌・抗ウイルス作用が期待できるユーカリを中心に、ペパーミントやティートリー、ローズマリーがブレンドされた、スッとするミントの甘さが印象的な香りブレンド。この香りを使って実験を行った結果、空気中の浮遊菌・ウイルスに対する抑制効果を持つことが実証されています。
「浮遊菌の除去試験」では開始から 89 分後に、「ウイルスの除去試験」では開始から 118 分後に 99.9%の浮遊中の菌・ウイルスが除去されたことがわかっています。

試験結果

【試験機関】 浮遊菌の除去試験:一般財団法人北里環境科学センター 北生発 24 ̲0320 ̲2 号 ウイルスの除去試験:一般財団法人北里環境科学センター 北生発 24 ̲0320 ̲3 号
【試験方法】 1 ㎥試験空間内で、当社製アロマディフューザー(all in one type 145S)で「C02 クリーンミント」を噴霧させ、 試験空間内に浮遊する浮遊菌/ウイルス数を測定。

※試験は原料である精油原液を空間噴霧した際の試験であり、実際の製品の効果をあらわしているものではありません。 ※実使用空間での実証効果ではありません。また、すべての菌やウイルスに効果があることを保証するものではありません。 ※菌やウイルスを抑制する効果はありますが、感染の予防を保証するものではありません。

https://www.at-aroma.com/jp/pdf_news/218.pdf
引用元:アットアロマ株式会社HP

アロマでウイルス対策

抗菌・抗ウイルス作用のあるアロマがわかってきたところで、おうち時間に特におすすめの使い方をご紹介します。
香りで空気環境をキレイに整え、気持ちも穏やかに過ごしましょう。

おうち時間を楽しく快適に

場所:リビングルームやダイニングなど
使い方:家族が集まる空間は、常にクリーンで安心な空間に保ちたいもの。しっかりと香りを広げる、広範囲向けのパワフルなディフューザーがおすすめです。エアコンの下など風上に置くとより香りが広がりやすくなります。
リビング

仕事モードへ気持ちをスイッチ

場所:書斎、テレワークオフィス
使い方:オフィスに比べて気持ちのON・OFFの切り替えが難しいテレワークは、香りで自宅のワークスペースをより快適にしていきましょう。仕事の邪魔にならない動作音が静かなディフューザーや、USBポートなどから電源がとれるディフューザーがおすすめです。

デスク

清潔な場所をクリーンに整えたい

場所:玄関、パウダールーム
使い方:常にクリーンに保ちたい玄関は、手軽に使えて即効性のあるエアミストや、火を使わないアロマストーンやリードディフューザーなどがおすすめ。玄関の臭い対策や、湿気や換気が気になる場所に爽やかな香りを使いましょう。
玄関

蒸気とアロマを体に取りこむ

場所:浴室
使い方:おうちでミストサウナのように香りを楽しむことができます。浴室に湯気を立たせ、湯気にエアミストを数プッシュ。深呼吸してあたたかな蒸気と一緒にアロマを吸い込みます。
また、入浴ができないときには、洗面器に熱湯を注ぎアロマオイルを3滴ほど入れ、バスタオルなどを頭からかぶって立ち上がる香りの湯気を吸入する方法がおすすめ(吸入時は目を閉じます)。お風呂に入れないときにも、気分がすっきりリフレッシュします。
蒸気

外出時にもアロマでシェルターを

場所:外出時
使い方:マスクにエアミストをひと吹きして気分をリフレッシュしましょう。マスクの外側にシュッとひと吹きするだけで、香りがふんわりと香り、気分よく過ごすことができるのと同時に、気になる臭いも和らげてくれます。
アロママスク

毎日の生活のなかでできること

さて、アロマの機能についてご紹介していきましたが、現在私たちの生活を脅かす、新型コロナウイルスに対するアロマの直接的な作用は、確認されていないのが現状です。私たちは、いま毎日の生活の中でできることを、引き続き行っていきましょう。手洗い、うがい、換気や咳エチケットなどを徹底してくことが大切です。
そしてアロマセラピーは私たちの生活に彩りや癒しをもたらしてくれます。アロマが本来持つ機能、心身へと働きかけをうまく生活の中にも活用しながら、いい香りを日常生活に取り入れ、心身共に健康でいられるように心がけていきたいですね。

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アロマ空間デザイナー 武石紗和子

アロマ空間デザイナー 武石紗和子

東京生まれ。香りをデザインするアロマ空間デザイナーとして、 さまざまな企業やブランドのオリジナルアロマづくりに携わり、 香りによるクリエイティブな空間デザインを手掛ける。アットアロマ企業広報も担当。
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